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今年2015年のグラミー賞でベストアルバム賞、ベストロックアルバム賞を受賞し再び注目されているアメリカのミュージシャン、Beck。近年はシンプルなフォークやバンドサウンド、実験的要素の高い楽曲などダークサイド的な作品が多かったような気がしますが、6月に突如発表した新曲「Dreams」がBeckファンには嬉しくて懐かしい、アッパーなBeckが帰ってきました。

ロックとダンスミュージックを合わせ、曲の展開も技ありで「Beck節」満載なこの曲はファンとしては「帰ってきた!」と思わせるウレシイ1曲。

Beckはアルバムごとに曲のテーマやジャンルがバラバラなアーティストですが、今回はBeckのアッパーな曲にスポットを当ててみましょう。

 

90年代のミクスチャー感覚溢れるデビュー曲「Loser」

90年代から出始めた様々なジャンルの音楽を取り入れたミクスチャーというジャンルのハシリといっても過言じゃないデビューシングル「Loser」。今でこそあらゆるミュージシャンが取り入れているラップは、当時はまだまだ黒人音楽のイメージが強かったのですが、Beckは自身のルーツでもあるフォーク・ブルースとヒップホップを組み合わせ、当時としてはかなり斬新な曲でいきなり大ブレイクとなった1曲。ブルージーなアコギのリフとヒップホップの大ネタJohnny Jenkins の「I Walk on Gilded Splinters」のドラムをサンプリングしたこの曲は今聴いても色あせないですね。

 

90年代の洋楽シーンではハズせない名盤「Odelay」

90年代の歴史的名盤「Odelay」。ロック、ヒップホップ、フォーク、ブルースからノイズミュージックまで様々なジャンルの音楽的要素を詰め込んだミクスチャーの傑作。このごちゃ混ぜ感がまさにBeckと言える代表作ですね。前述の「Loser」からの延長で上の「Where It’s At」のようなヒップホップへアプローチした楽曲もあれば

同じくブルース×ヒップホップをミックスした「Hotwax」、

ロックテイストな「Devil’s Haircut」、

ロックとヒップホップ、ノイズのミクスチャー「Novocane」みたいな曲があったと思ったら、

「Lord Only Knows」のようなフォーク、ブルース的な曲があったり

Themの「It’s all over now,Baby Blue」をサンプリングした、もろフォークな「Jack-Ass」のようなゆったりとした歌ものが続いた後に

パンクな「Minus」という曲が入ったりとかなり振り幅の広いアルバムとなっています。

またこの時期に出ていたシングル盤には

前述の「Where It’s At」を太陽に吠えろ的にリミックスした「Lloyd Price Express」や

ノイジーでロックな「Thunderpeel」と隠れた名曲も。

ソウルやファンクをテーマにしたアルバム「Midnite Vultures

「Odelay」の大ヒットを受けて次に出したアルバム「Mutations」では、あえての期待を裏切りかなりアコースティックでシンプルな歌もののアルバムを出し、その次に出したのが「Midnite Vultures」。このアルバムでは再びアッパーでダンサブルなアプローチへ。今までのブルースやフォークといった要素は影を潜め、80年代のソウルやディスコといったダンスミュージックへと変化していきます。全体的には踊れるハッピーなアルバムですね。

最初に紹介した「Sexx Laws」やこの「Mixed Bizness」といったディスコ、ソウル的なジャンルの楽曲や

ちょっぴりブルース色を入れつつもソウルミュージックに仕上げた「Peaches & Cream」、

R&Bとヒップホップ的なアプローチをした楽曲「Hollywood Freaks」、

ちょっとロックでスペーシーでBeck流ごちゃ混ぜソウルミュージック「Milk & Honey」、

メロウさが心地よいゆったりソウルソング「Debra」と80年代のダンスミュージックをテーマとしながらこれまた、Beckらしい振り幅の広いアルバム。2015年は80年代要素を入れた曲を出すミュージシャンが多いですが、今聴いても時代感が合ってますね。

 

今までのBeckをさらにごちゃ混ぜにミクスチャーしたアルバム「Guero」

Midnite Vultures」のあとに「Sea Change」というこれまた真逆にシンプルな歌ものアルバムを挟んで、その次に出したアルバムが「Guero」。このアルバムは「Odelay」に通ずるとこもあるようで、さらにごった煮にしたような色んな要素を含んだアルバム。上の曲はリードトラックに「E-pro」という曲ですが、Beastie Boysの「So What Cha Want」のドラムサンプリングが利いてるロックな1曲。

久々に直球ヒップホップな曲「Qué Onda Guero」、

ゲームボーイの音楽ソフトで打ち込んだというイントロが特徴的なブルース・ポップ「Girl」、

R&Bとヒップホップ色の濃いシングル曲「Hell Yes」、

シンプルなアレンジがかっこいい、R&Bやファンクっぽい曲「Go It Alone」、

ロック、ノイズ、ヒップホップにファミコン!を合わせた「Chain Reaction」とまるでおもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティ豊かなアルバム。

 

と、Beckのアッパーなアルバムにフォーカスしてみましたが、これらを聴いてみると新曲の「Dreams」は今までのアッパーなBeckの多様性を掛け合わせたような1曲とも感じさせますね。次のアルバムはどういったものになるのか、気になるところです。

 

 

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